2019年12月17日火曜日

店主大橋の古着と人生 vol.3












こんばんは。DioramaClothingStore大橋です。









不定期更新の気ままなコラムの3回目。継続は力なりということで書いていきます。









気がつけば12月も中盤。2018年も終わりで、2010年代ももうすぐ終わってしまいますね。


1年ってのは早いんだか遅いんだかわかんないけれど結果やっぱり早くて、


なんだかそのスピードが年々早くなっているような気がして、俺の人生ってもうすぐ終わるんじゃないか?


なんてことまで考えて怖くなる日もあります。


もうダブルで怖いです。


そして何歳で人間は死を恐れなくなるのだろう?そのキッカケは?教えてSiri?


って思いませんか?


後にならなきゃわからないから人生ってのは面白いんだろうけど、こればっかりは凄い不思議。


僕の今年の経理業務が12月なのに未だ何も終わってないのと同じくらい不思議です。











そうなんです。僕はコラムなんて書いている場合ではないのです。


通常の経理の業務でさえ死ぬほど時間がかかるのに、今年はPanoramaをオープンした年。


その遡らなくてはならない領収書の数ってのは山の如し。


このスピードで時が流れたら来年の3月なんてもう再来週みたいなもの。


ヤバい。マジでヤバいぞ 。。。って本気で思いながら、


本気の現実逃避でこのコラム第3回に辿り着きました。


逆に冴えてます。どんどん書いちゃうぞ。










ということで皆様にとってはクソどうでもいい前置きはこれにて終了です。


第三回のコラムは "Panorama Store" について書いていきます。






Panoramaをオープンするまでに経緯も書こうかなぁと思ったのですが、


それを書き始めたらもうそれだけでこのコラムは終わってしまうので、またいつかのタイミングで長ったらしく書きます。


いやそれ後かよ!って思う人もいるかもしれませんが、今日は昔話ではなく未来の話がしたいのです。


このコラムはあなたを大須に走らせ、我々のお店で古着を買ってもらうために書いているという事を忘れてはいけません。







ということで今日はPanorama Storeの1セクションを担ってくれている


 "please and thank you store"について書いていこうと思います。


題して、『ジェニーは何も気にしない』













please and thank you store はLAでショールーム兼店舗をやっていて、


ジェニーという女の人が一人でやっている会社?です。


どこまで公にしていいかわからないけれど、彼女は普通の古着屋ではなくって


ブランドへのサンプル提供、スタイリストへの衣装提供、TV 映画のスタイリングと衣装提供


が彼女のメインの仕事。


話をしていると次々と出てくるビッグネーム(もう世界中の人が知っているレベル)に愕然としてしまうのですが、


彼女は "まぁLAだからね" みたいな感じでとてもアッサリ。


確かにLAでこういう依頼が来ることは超特別珍しいことではないかもしれないけれど、


それにしても彼女が得ている業界からの信頼や人気は頭一つ抜けていると思います。


そんな素敵でファンキーな女性の古着屋さんです。










そんな彼女と僕が出会ったのはDioramaをオープンして2回目の買い付けに行った2015年の秋頃。


ローズボウルというLA最大のフリーマーケットでの事です。


昼過ぎの一番暑い時間帯にフラフラで回っているとなんだか雰囲気の良いブースを見つけ


チェックしていると僕好みのボロいアメカジがズラリ。


その頃ジェニーはローズボウルでもかなり隅の場所で出店していた為、


これはいいぞ!と思い何着か買おうとピックしていたのですが、なんとブースが無人。


"これ誰が売ってるの?" と周りに聞くも "さっきどっか行ったよ" と言われて待つはめに。


そして待つ事20分...


そこに現れたのが大量の "古い日本の着物" を両手に抱えたジェニー大先生だったのです。









衝撃的な登場に、なんだこの人は...!仲良くなるしかない!とすぐさま話しかけたのを覚えています。


しかし彼女はとても気が強く、当時僕は26歳の若者日本人バイヤー。


勿論その時今ほど英語が喋れるわけもなく、最初はちょっと冷たくあしらわれそうになったのですが


不屈の精神でなんとか気持ちを伝えて買い付けし、インスタを交換し、交友関係が始まりました。














昔のブログを遡りその時買った物の写真を発見。

う〜ん今見てもクール。そして今も昔も全くブレていない。







そしてその当時は日本人バイヤーのクライアントがあまりいなかったなかったらしく、


メンズで古い服だけじゃなく派手な服も沢山買っていた僕は新鮮だったみたいでどんどん仲良くなり、


僕はアメリカに行くたびに彼女を訪ねるようになりました。









日本の古着業界のヴィンテージに対する知識というのは紛れもなく世界トップだと思うのですが(年代識別の緻密さやミリタリーの情報量など)


音楽や歴史、サブカルチャーに於いては、当たり前なんだけれど本国の人には敵いません。


彼女は古着屋になる前に音楽関係の仕事と某有名ブランドで働いていたので


バンドとファッションの知識も豊富。


"このバンドあんた知らないと思うけど絶対好きだから買い付けなさい!"


なんて言われて買ったバンドTも何枚かありました。


お店に来てくれるお客さんが僕らの提案や知識を参考にしてくれているように、


僕はアメリカの人たちから沢山の事、感覚を教えてもらっています。


その為に英語を勉強したし、それは僕の初めてのディーラーがジェニーだったからかもしれません。











1年前のジェニー(写真嫌い)と私









 "ジェニーは何も気にしない"  本題はここから。


そんな優しくて沢山の事を教えてくれるジェニーですが、


この人こそ僕が出会ってきた中でも指折りの "超クールな奇人" なのです。







この人は本当に人に媚びない。


好き嫌いはもうびっくりする程ハッキリしていているし、意見は超真っ直ぐに言う。


僕が古着の業界や未来の事とかを相談した時も気持ち良い程ビシバシ意見を言ってくれました。


広いようで狭いLAのアパレルシーンの荒波の中で生き抜くには、


やはり彼女くらいの個性とアティチュードが必要なんだと思う。


弱肉強食なんて言ったら大袈裟だけど、彼女も沢山悩んでいろんな答えを出してきたんだと思います。








そして彼女は仕事しかしない。


そのとてつもない労働量を見て "たまには休みなよ!" なんて言ったこともあるのだけれど


"休んでどうすんのよ!" という答えが返ってきた。笑


時間がもったいないという理由で昼ごはんのサラダを食べながら作業をし、


大好きなヤンキースの中継を観ながら仕事のメールをしている。


"やっぱジェニーは変人だね!"というと


"変人はあんたでしょ!"と言われるのがいつもの会話。


ちなみにずっと仕事をしているから人とも遊ばない。


やっぱり俺が普通だ。









もちろんビジネスをする人間としていろんな事にアンテナを張り、常に新しい事に挑戦をしている彼女だけれど


扱う物も考え方も自身のスタイルを貫いていて、周りのことは気にしない。


目先のお金に向けて流されることが、いかに自分のブランディングの価値を下げるかを彼女は知っているから。


LAでバンドTシャツのブームが凄まじいレベルになった数年前に


僕は彼女がバンTの仕入れを辞めるんじゃないかな?と思ったくらいタイミングでやっぱり彼女は仕入れを減らした。


理由は聞いてないけれど、きっと気が乗らなくなったんだと思う。


めちゃくちゃわかる。俺がアメリカのディーラーだったらきっと同じ事をしただろう。


この強さと個性がpleaseandthankyoustoreの魅力。


なので彼女の選ぶ古着にはエネルギーがあると信じています。














せっかくなので商品と共に彼女の魅力に迫りましょう。

(半分くらいの物がsoldoutです。スミマセン!)









洋服と呼べるかギリギリの超ボロワークジャケット(soldout)


ニーズに合わせた商品を用意するのが普通の古着屋の仕事。

ただ彼女はそんなことは気にしない。

"欲しい人が欲しい物を買えば良い" という超シンプルで真っ直ぐな考え方。

彼女はきっと "that's awesome" とだけ言うだろう。

周りがどう思おうと自分がカッコイイと思えば着ればいいと僕も思っている。

そんな強さをみんなが持っていたら街はもっと面白い。









50's アーミートレンチのブリーチ加工(soldout)


ここ最近彼女が力を入れている加工シリーズ。

きっと誰もが驚いた厚手のアーミーコートのブリーチ。

ブリーチで生地が弱くなり破れちゃったりするんだけど、それも良い。

完璧を求めないというか、そんな物そもそも狙っていないのかもしれない。











70年代のヒッピーレザー(まだあります)


カルチャー云々言うつもりはないけれど、でもこれを手にした人は70年代について知りたくなってしまうでしょう。

とにかく格好つければいいじゃん?な1枚。

これはもう絶対に古着でしか手に入らない洋服。

ボタン取れてるけど敢えてこのまま出してます。(後でつけるかも)









80'sだったかな?コーラのスウェット(soldout)


イケイケな若者セラーがフリマで売っていても買い付けはするけれど、

ジェニーから送られてきた物の方がなんか嬉しい。

ポップでノスタルジーなアメカジ。彼女のエッセンスです。









70’sリーバイスのブッシュジャケット(まだあります)


柄シャツにフレアにウエスタンブーツ。

当時はピチピチのサイズ感でこの着方だったに違いないブッシュジャケット。

デカいサイズが送られてきました。

やはり彼女はわかってる。そんなこと考えてないかもしれないけれど、きっとわかってる。

オススメです。









 50's ヘラクレスのチェックPコート(まだあります)


キワモノも彼女の魅力だけれど、クラシックも良い。

アメカジど真ん中。パワー オブ ヴィンテージでございます。

実はPanoramaをオープンする時に "重いウールのヘヴィーアウターは今日本で売るのが少し難しい" ということを伝えてました。

そして彼女はこれだけを送ってきた。

どう考えてもわかってます。









古い穴だらけのスキーニット(soldout)


"この冬僕に衝撃を与えた古着アワード" にノミネートしたこちらのセーター。

スウェットのボロは何故か市民権を得ているけれど、ニットのボロって何かネガティブイメージではないですか?

でもブランドからはボロ加工ニットとかって最近はいっぱい出ていて、僕の中では盲点でした。

そして僕も欲しくなって古着屋を回り探したけれどボロいニットなんてどこにも売ってない。

いや、彼女から買わないと意味が無いかもしれない。










70'sくらい クマのおばさんセーター(まだあります)


ジェニーは何も気にしない。
















いやぁ〜褒めましたね。本人に知られたら怒られそうなくらい褒めた。


でも今日書いたことは本当に嘘偽りない僕の意見と気持ちなんですよ。


古着の歴史って少しづつ変化はしているんだけれどやっぱり大部分はアメカジで、


もう世界中の人がアメカジを知っていて、計り知れない数のお店がアメカジを商売にしてるんです。


そんなアメカジという普遍的なジャンルでここまでの個性と世界観を作りあげれる人って


世界中探してもきっとそんなにいないと思うんです。


だから彼女は特別で、Panorama Storeに参加してもらいました。


彼女の服を全身揃えた時、きっと何かがわかります。











今日のコラム大丈夫かな?何か宗教にハマった人みたいになっていないか心配ですが、まぁいいでしょう。


古着に求める物は十人十色で、古着の楽しみ方も同じ。


今日の僕の文章を読んで マジ何言ってるかわかんねぇ〜!と思た人が普通なのかもしれない。


ただ僕は古着は自由であるべきだと思っていて、スタイルを持って自分のオシャレをしている人が好き。


そして極論だけど普通の服ならわざわざ古着で買わなくてもいいとさえ思っています。


これは僕がパンクな思想というのもあるけれど、追求を続けて出した答えの1つでもあって


美学ってのは正解はないけれど、追った奴しか手にすることはできません。






やっぱり古着を買うという無駄な行為には意味がある。無駄だからこそ意味がある。そして最高に楽しい。


みなさま古着を買う準備はできましたでしょうか?


年末も年始も沢山古着を買いましょう。よろしくお願い師走。




-完-

















Diorama Clothing Store


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dioramaclothingstore@gmail.com